双葉郡の学校を卒業した子どもたちは、進学したり、就職したり、様々な分野で活躍のフィールドを広げています。
今回は浦山夏美さん(ふたば未来学園高校卒)に双葉郡の学校の思い出、将来の夢について、インタビューしました!
Voice 02: 浦山夏美(うらやまなつみ)さん 19歳 大学1年生
プロフィール:福島県田村市出身。田村市内の中学校を卒業後、ふたば未来学園高校へ進学。子どもの社会参画をテーマに未来創造探究の活動を進め、中止とはなったものの、令和4年度双葉郡小学校絆づくり交流会中学生実行委員会を立ち上げ、企画・運営に携わった。卒業後、宇都宮大学地域デザイン学部へ進学し、まちづくりについて学んでいる。
- 今はどんな勉強をしていますか?何がきっかけで今の大学を選んだのですか?
地域デザインという学部で、地域創生やまちづくりについて、文理融合型で理系の観点も含めて多方面から学んでいます。そもそもまちづくりに興味を持ったのは、小学校の時、商工会の人たちが関わったイベントに参加したことがきっかけでした。ふたば未来学園高校での探究活動でもまちづくりとか、子どもの社会参画に携わっていましたが、やはり専門知識が不十分だなと感じていて、まちづくりに特化した学科に行きたいと思い、今の大学を選びました。
現段階だと、勉強の面ではまだまだ学ぶのは基礎知識だったり、堅苦しいことばかりで少し窮屈に感じることもあるのですが、その中でも高校でやってきたことや、高校で学んだ単語が出てくると、今までやってきたことが生かされるなと思ってワクワクします。
- ふたば未来学園高校に進学したいと思った理由はなんですか?
私が中学校3年生だった当時、テレビで紹介されていたふたば未来の様子を見て、すごく楽しそうだと感じました。元々総合学科を目指していたので、行ってみたいと思いました。ただ、他地区だったので、こちらから色々と情報を集めていかないといけなかったし、中学校の先生方も何をどう準備したらいいのだろうというのから始まったので、先生方にもご迷惑をおかけしたと思います。
周りは郡山市の進学校を目指す友達も多く、本当にふたば未来でいいのかなと自分でも不安になりましたが、楽しい高校生活を送りたいという思いのほうが強かったです。
テレビでは探究活動についても紹介されていて、単なる勉強よりも探究活動をやってみたいと思い、興味を持ちました。
入学したら寮生活になるので、両親は最初、ちゃんと生活していけるのかと大反対でした。それだけではなく、私たちには震災の記憶は残っているけれども、周りには実際に被災した浜通りの子たちがいる。その子たちへの配慮がきちんとできるのかとすごく言われました。あなたはよそ者なんだから、ちゃんと気をつけなければならないと。
高1 の時はその点をすごく意識していた記憶があります。震災関連の話を聞いている時に泣き出してしまう友達がいて、そういう時に両親に言われたことをすごく思い出しました。
- 未来創造探究(※)ではどんな活動をしていましたか。それをしようと思ったきっかけはなんですか?
当時は2年生になってから自分でテーマを決めて活動を始める流れだったのですが、最初は広野町に異世代の交流スペースを作りたいという思いからスタートしました。小学生の時に参加したイベントで作ったスペースが、その後、交流スペースに生まれ変わったという経緯があり、そういうスペースを作ると盛り上がるというのを体感していたので、それがあればいいのかなという漠然とした思いでした。
ただ、すでにそんな感じの場所があったので、同じものを作ってもしょうがないので、じゃあ、どうしようとなり、色々な人の話を聞いて、その中で、やっぱり子どもたちに関わりたい、自分が子どもの頃に社会と関わる経験ができたから今があるんだと思えるようになってきて、子どもたちにもそういう経験をどこかでしてほしいという思いが生まれました。
そこで、まずは近隣の小学校巡って先生方のお話を伺ったところ、共通して、「学校同士のつながり少ない」という課題が見えてきました。そこを自分でどうにかできないかなと思うようになり、最初は 自分が声をかけて1から「双葉郡の運動会」を作っていきたいと考えました。運動会にしたのは、運動系のチェアで双葉郡の子どもたちのために何かできないかと悩んでいる友達がいたので、一緒にやっていこうよということで、運動会の企画に落ち着いた感じです。
(※未来創造探究:ふたば未来学園で取り組む課題解決型学習)
- 双葉郡小学校絆づくり交流会の企画運営に関わったきっかけを教えてください。
「双葉郡の運動会」という企画を考えたものの、担任の先生やカタリバの方に相談していく中で、やはり、今から 1 から自分で企画立案してやっていくのは多分厳しいよねという話になりました。
その後、双葉郡教育復興ビジョン推進協議会が双葉郡の全部の小学校から小学生が集まる「双葉郡小学校絆づくり交流会」という行事をやっているのを知り、そこで自分が関われる部分がないかと思い、事務局に連絡をしてみた次第です。
その後、実行委員の先生方が集まる実行委員会で、どんな思いで関わりたいと思っているのかも説明させていただきました。結果、企画・運営に関わらせていただけることになり、双葉郡内から中学生の実行委員を募集し、準備を進めることにしました。
- 中学生の実行委員を募集し、中学生実行委員会も一度開いたにもかかわらず、新型コロナウイルス感染が拡大し、結果、昨年度の絆づくり交流会は中止となってしまいました。その時どんな気持ちでしたか?
中学生実行委員会は1度しか開催できませんでしたが、とても楽しかったです。ただ、中学生の意見を尊重してやっていきたかったので、どうやったら意見を出してくれるのか、どういう声掛けならいいのか、誘導しないようにするのが難しかったです。
中止になった時は、ずっとコロナと戦い続けてきた高校生活だったので、ここまで来てまた負けるのかという悔しさがありました。
また、声掛けをして参加者を増やし、つながりもでき、保護者の方にも送迎に協力いただいたりしていたのに、中止の連絡をするのがすごく申し訳なかったです。保護者の方から、「一番悔しいのは浦山さんだと思う。だから謝らないでほしい」というメールをいただいた時は涙が止まりませんでした。後で考えると、あそこまで泣けたのは本気でやっていたからだったんだなと感じます。
その後は、友達も、先生方も、カタリバの職員の方々からも、高校生でここまでできるのはすごいと言っていただいて、せっかくここまでやったので、最後までちゃんと終わらせたい、できることなら来年に引き継ぎたいと思い、まとめの作業を始めました。
- 結果、ふたば未来学園の後輩が浦山さんの思いを引き継いでくれて、今年の絆づくり交流会の企画・運営に関わってくれました。当日の様子を見てどう思いましたか?
たくさんの子どもたちが体育館に並んでいる姿を見た時はめちゃめちゃ嬉しかったです。笑顔の子どもたちを見て、すごい経験になってくれるといいなと思いました。
引き継いでくれた後輩たちが、そんな子どもたちの前ではきはきと話すを姿を見て、「すごい!かっこいい!!」と思いつつ、「あの場に自分が立ちたかった」とうらやましくも思いました。
- 新型コロナウイルスにものすごく影響を受けた高校生活だったと思いますが、卒業した今、ふたば未来はどんな学校だったと思いますか?
一言で言うと変だったなと。(笑)
ふたば未来にいる時からは感じてはいたのですが、やっぱり他の高校とは違ったことができる高校だったと思います。大学に入学してからも、高校の話をすると「そんな高校があるんだ!」、「そんな活動してたんだ!」と驚かれます。
確かに普通の高校生ならやらないようなことを経験できたことはすごいと思いますが、他から見たら変なんだろうなとは思いました。(笑)
すでになりたい職業がある場合は別ですが、自分が何になりたいのか漠然としているようだったらふたば未来を選択肢に考えるのもよいと思います。幅広いことに携われて、色々なことに関わることができるのがあの学校のよいところです。地域の方々も、先生方も、非常に個性豊かです。そういう方々と触れ合えることも強みだと思います。
- 将来の夢はなんですか?
まだ漠然としていますが、やっぱり子どもの教育には携わりたいなと思います。学校の先生ではなく、外から子どもたちの成長に関われるような職につけていたらいいなと思います。
それはやはり、自分が子どもの頃に実際に社会と関わり、充実感やつながりを持てたという実感があったからだと思います。子どもの頃から地域に関わることができるというのはすごくよいことだと思うので、そういった考え方を子どものうちから持てるよう、お手伝いがしたいです。
- 双葉郡の後輩に一言!
色々なことに興味を持ってほしいなというのが一番です。自分がそういう性格で、色々なことに興味持っているというのもあるのですが、「これにしか興味ないから他の事は知りません」とか、「それ以外は調べません、見ません」みたいな人を見ると楽しくなさそうだな、そこで行き詰まっちゃった時には本当に立ち止まっちゃうんじゃないかと思います。
あと、今だとだんだん薄れてきて、そんなに言われないかとは思うのですが、双葉郡に限って言えば、「復興を担ってほしい」という言われ方をすることが多分多いと思います。それは気にせず、自分が興味あること、好きなことやってほしいと思います。外にも視野を広げて、興味持っていて欲しいなと思います。
行き詰まった時、助けてくれる人は周りにもいるよというのもすごく大事です。
★★★浦山先輩、インタビューへのご協力、ありがとうございました!★★★